西暦2020年に生きる私たちは、「恋愛の延長上に結婚がある」という固定観念の下に暮らしています。
しかしこれは、安寧な結婚生活を求める男女にとっては地獄への引導のような価値観です。
「は?何言ってんのコイツ」
と思われているのを承知で続けます。
自分がときめける人=自分が結婚して幸せになれる人だとお感じなら、それは、
完全なる勘違いです。
あなたの内なるときめきセンサーは、ほとんどの場面に於いて、すべき判断を狂わせます。
もう一度言います。
ときめけない相手とは、幸せな結婚生活が送れない、という考えは、
なんの根拠もない思い込みです。
本記事ではその理由について脳科学的に解説し、それでも「恋愛結婚して幸せになりたい」あなたに、良いトコ取りの方法をご案内いたします。
※前回のお話はこちら⇒理想の結婚相手探しの落とし穴
【この記事を書いた人】
恋愛感情の「好き」と幸せな結婚生活に相互関係はない
ときめかない相手との結婚。
条件がぴったりで人柄も悪くない人と出会った。
でもテンションが上がらない。
この人と結婚したい、と強く思えない。
このように感じ、お相手に難色を示す人がいます。
そしてたいていの場合、「やっぱり好きになれない人とは結婚できない」と考え、そのご縁を手放します。
好きになれない人と結婚する必要はないと、婚活サポーターの私も思います。
けれど、その「好き」の判断方法が適切になされているケースはほとんどありません。
実は「好き」には2種類あって、1つは「恋愛感情による一時の高揚」で、1つは「信頼が深まることで強まる愛情」なのですが、ほとんどの人は前者の「恋愛感情による一時の高揚」があるかどうかで相手を推しはかり結論づけてしまいます。
「信頼で強まる愛情が持てるかどうか」は、自己開示をしたり、相手理解を深めたりしなければわかりません。
一方の「恋愛感情の好き」は、労力無く短時間で判断できてしまいます。そのため、ときめき判断が先行し、早々にご縁を手放してしまうのです。
「恋愛感情の好き」でお相手を決めて結婚して、幸せな毎日が続くのなら何の問題もないのですが、残念ながら幸せになれないことが多いです。
それはなぜかというと、恋愛感情は時限的に生成される脳内物質がもたらす高揚で、盲目作用を持つからです。
婚活からの恋愛結婚を全く勧められない理由
私は恋愛感情が沸く相手を心が求めている状況を「ときめきセンサーが発動した状態」と勝手に言っているのですが、このときめきセンサーが発動しているとどうなるのかをお話ししますね。
「恋は盲目」は、脳科学的に見ても真実
恋愛感情を感じている時、何とも表現し難い鮮烈な感情、特有の多幸感で心が満たされます。
実はこの多幸感は、本能によってもたらされているものなんです。
本能は子孫繁栄のために、「良い子孫を残せそうだ」もしくは「安心して子育てできそうだ」と感じた異性をターゲティングし、「この人と子作りしたくなりなさい」という指令を出します。
この指令を受けた脳は、ターゲティングした相手といる時に「強烈な快感」を感じさせる脳内物質を分泌させ、それと同時に、「この人と身も心も深く繋がりたい」という切実な思いを抱かせます。
この時分泌される脳内物質の名を、ドーパミンと言います。
「脳内麻薬」という異名を誇るこのドーパミンの快感作用は凄まじく、気力は充実、疲れをも吹き飛ばして「ハイ」な気持ちにさせてくれます。
「もうっ最高!!」
という状態にしてくれるドーパミンですが、実は非常に厄介な性質をあわせ持っています。幸福感をもたらすと同時に、扁桃核という、脳の批判や判断を司る場所の動きを鈍くしてしまうのです。
つまり、人は恋をしているとき、ときめいている相手に対して冷静な判断ができなくなり、通常は不快に感じるようなことも、気にならなくなってしまうのです。
この現象を私は「あばたもえくぼ現象」と呼んでいます。
人はこの「あばたもえくぼ現象」により、通常モードの自分なら「嫌だな」と思うことが気にならなくなり、重症だと「この人に限っては、それがまた良い」などと感じながら、子作りのための行為まで一直線になります。
本能は、とにかく子作り優先なのです。まずは子孫を作れ、後のことは知らん、と言わんばかりに、あなたの心と体を相手に縛り付けます。
恋は時限爆弾
ドーパミンは、時限式の化学物質で、特定の異性に対して永遠に分泌されるものではありません。
恋心の場合は、長くても3~4年で切れると言われています。
この特性もまた、本能の計らいだという説があります。
「この人との子作りの時間は十分にかけた。より確実な繁栄のために、別の人との機会を得よう」と判断し、現在の恋人へのときめきをオフにして、愛着を失わせようとするのです。
…結婚から3年目に山が来る、という通説に、妙に納得してしまいますね。
まとめますと、
婚活で「ときめく相手」を見つけて結婚するということは、
「諸々条件や相性を確認し合った上で結婚し、心地よい結婚生活を送ろうと活動していたのに、冷静な判断が出来ない、不快を不快と感じない状態で、気持ちの盛り上がりに任せて入籍してしまう」
ことを意味します。
本末転倒です。
冷静な状態なら耳についていたであろうネガティブな口癖。
冷静な状態なら一緒に食事するのも嫌な食べ方。
冷静な状態なら我慢できない冷房の温度設定。
冷静な状態ならOKできなかった家事スキルのなさ。
冷静な状態なら許せなかった親への態度。
ちょっと引っかかってたけどやり過ごせたことが、ときめきが失われると許せなくなるのです。
まずはときめけなくても、信頼と絆により愛情は深まっていく
恋は盲目。
私は、これ以上の格言を知りません。
見た目、しぐさ、香り、人を魅了する特技、年収、職業、社会的地位・・・
あなたは、結婚相手を探しながら、「僕を、私を、幸せにしてくれる人かな」と探るのと同時に、あなたの中のあらゆるときめきセンサーをフル稼働させて、
「この人にときめけるかな」
とサーチしていたと思います。例え無意識にでも。
けれどこれまでお伝えしてきたように、ときめきはあがらい難い刹那的欲求の波であなたをまるっと飲み込み、長期安定型の穏やかで優しい日々を遠くへ押しやります。
是非、ときめきセンサーをしばらくの間、完全オフにして婚活をしてください。
恋愛感情から始まり、それが愛へと変わる、などと世間は言いますが、短期間であなたがときめくような異性と共同生活の相性がピッタリの相手が同じことはほぼありません。説明すると長くなるので省きますが恋愛の特性上まずありません。
愛には努力が必要ですがキャパシティーはどうしたって存在します。それはもう、相性が良くなければ育むのは難しいことなのです。
けれど順番を逆にすることで「ときめく結婚」を手にすることは可能です。
結婚生活の相性が良い相手を見つけて、深く知り、知ってもらい、許し許され心の絆を育んでいく中で、ときめきが生まれたり、ときめきとは質が違っていてもそれと比べても不足ない多幸感を生めるのです。
そういった感情を育みやすい相手は、ものの見方考え方に共感・尊敬を感じられる人だったり、あなたに関心を持って接してくれる人だったり、安心感や信頼を与えてくれる人だったりします。
初めて会った時、
「手をつなぎたいとか、キスをしたいとか、全然思えなかった」
「ピンとこない」
そう感じた方を、あなたは結婚相手候補から遠ざけてきたかもしれません。
「生理的になんか嫌な感じがした」
まで来ると、さすがに私も「やめておきましょう」と言いますが、単に「実際会ってみたら、ときめく要素がなかったんだよね」という理由で相手を取捨選別していたのであれば、
「恋愛感情ありきの婚活」という世間の常識を、まず、乗り越えてください。
そうすることであなたは、目の前のお相手があなたに安寧な毎日をもたらす相手かどうかの判断を、より正確に行えるようになります。
次回は、お相手候補が希望している結婚相手の条件が真実とは限らないをお送りします。